採点:85点
良かったところ
- 別荘・集落という設定(非日常空間からのスタート)はミステリーの鉄板か、それだけで何が起こるのかワクワク・ドキドキ感がある。
- 明るい雰囲気から徐々に違和感を演出していく流れも鉄板か。
- 陽気なビーチに貨物船が突っ込んでくるシーンはつかみとして抜群。普通なら座礁しているはずだが、そうした条理を無視するところも良い。
- 貨物船のあと、Wi-Fiが接続されない状況、徐々に何か異常な状況に陥っていく感じが出ている。
- 貨物船→Wi-Fi→夜中の訪問者、じわじわ引き込む。
- 家主と主人公たちとの境界線を撮影したカットは、作品を象徴するものとして強い印象を与える、効果的な構図。
- 妙に慇懃な家主と高慢な娘。普通じゃない感じ、この先どうなるのか不安に指せる演出がうまくできている。
- というか情報が遮断されているので、家主かどうかもわからない。
- 銃のカット
- 情報社会での情報の遮断、サイバー攻撃、何が事実かわからない状況。こうした状況は今後AIによって更に加速するだろう。これはホラーだ。
- 不安感が多面的に展開する異常状況で恐怖に高まっていく。徐々にそして加速度的にそうした「煽り要素」を入れて引き込んでいく。
- 鹿の大群、スペイン語を話し泣き叫ぶ女、墜落した飛行機、赤い物体を撒き散らす飛行機、その理由は…
- サイバー攻撃の不安がピークになったところでの異常音。劇場の人はよほど驚いたと思う。
- アーチーの歯が抜けていくシーンは不安と恐怖が主人公家族に現実的に迫っている。ここから最終パートに入っていく。パートごとに区切っていくのはダレさせない工夫でわかりやすいが、少しあからさまで入れないほうが良かった気もする。
- 緊迫するシーンを2つ以上同時並行して取り入れる手法は、不安や緊張感を相乗的高めてくれる
良くなかったところ
- 主題歌や音楽が主題と雰囲気をぶち壊している。
- 無駄に奇抜なカメラワークが多い。上から、回転などを多用しすぎているので、効果的な使い方になっていない。印象的なシーンに絞って使うべきだ。
- 黒人の少女が静的対象として描かれている点。そう見えないという点含めて。
- 黒人の少女が危機的状況なのにしっかり顔中にピアスをしているのはおかしい。最終パートぐらいピアスどころじゃないという気持ではずさせておくべきだ。
- 歯が抜けた役者の声優はそれらしい演技をしてもらいたかった。
- 動物を敵にするのはどうなのか?
雑感
- テスラの完全自動運転車がサイバー攻撃でミサイル化していたのは笑えた。テスラがスポンサーでないのは確実だろう。
- あまりにも暗いテーマなので最後のあたりは少し明るい日常感を取り入れたのだろうか? 地下シェルター発見なのでバッドエンドに一筋の光という感じだろうか。